世界のコインご紹介#10「自由ハンザ都市ハンブルク」

世界のコインを探し続ける皆様、こんばんは。

本日は数あるデザインの中でも人気のテーマである「都市景観」についてご紹介いたします。

都市景観・・・
その名の通り街並みをコインのデザインに採用した物ですが、とりわけ神聖ローマ帝国皇帝から通貨発行権を与えられた「帝国自由都市」と呼ばれる街（ニュルンベルク、ハンブルク、アウクスブルク・・・）が発行した物が有名です。

今回はその中でもハンブルク都市景観のコインをいくつかPick Upしました。

貨幣蒐集家としては（勿論資産防衛としても）1枚は持っていたい、人気のデザインです。

ドイツ 1653年 平和の女神パクス/ハンブルク都市景観 10ダカット金貨 

＊1枚入荷予定、ご案内まで今しばらくお待ち下さい＊ 

表面：両手にコルヌコピアを持った平和の女神パクス
中央にはハンブルクの象徴であるエルベ川と行きかう商船
MARE PAX TERRAM PAX VRBES PAX BEATAGROS
（海の平和、陸の平和、木々の自然の平和）

裏面：中央に「神の傘」と呼ばれるシンボル、その下にハンブルクの紋章
たくさんの商船が行きかうエルベ川
HÆC VRBS TVTA DEI CLYPEO PROTECTA MANEBIT
（我等は神の盾によって護られん）

ハンブルク（自由ハンザ都市ハンブルク）はドイツ北部に位置する湾岸都市。

中央を流れるエルベ川を中心に商業で賑わい、中世の時代からドイツを代表する港町として栄えました。

1510年には時の皇帝ジギスムントから独立を承認され、帝国都市となりました。

三十年戦争において経済的打撃は大きかったものの、町を取り囲む大きな壁（ハンブルクの紋章にも見られます）がハンブルクを守ったと言われています。

18世紀になるとビールやコーヒー、タバコの生産が盛んになり、ハンザ醸造所とも言われました。 

こちらは三十年戦争終結から5年後の1653年に発行された1枚は、大胆に描かれた平和の女神パクスと裏面の神の傘、そして先述のエルベ川を中心に賑わう街並みが特徴の10ダカット金貨。

• ドイツ 1736年 ハンブルク海軍提督府 10ダカット金貨

表面：荒れ狂う海を進む提督府の護送船、右側にハンブルクの紋章である白が描かれた旗
ET FORMIDANDA LATRONI ADMIRALITAS
（最悪の航海にも提督府は立ち向かう）

裏面：ハンブルク提督府の紋章を掲げた旗と砦
ET IVSTI VINDEX ANNO 1736　REIP・HAMB（1736年ハンブルクにて設立）

ハンブルク海軍提督府・・・

神聖ローマ帝国の時代から港湾ビジネスで盛り上がっていたハンブルクでしたが、北海の海賊にも悩まされていました。

1623年にハンブルク商工会の商人達が中心となり「護送船団委員会（所謂自警団）」を設立。後のハンブルク海軍総督府となり、海の平和を維持する事に成功しました。

1811年に解散する事となりますが、その紋章は未だに港湾当局によって引き継がれています。

2022年に1度だけ入荷したこちらのコインは即完売となりました。

それ以来探し続けていますが市場には一切出てきません。

• ドイツ 1694年 ハンブルク都市景観 自由と平和 10ダカット金貨

表面：12時位置に全てを見渡す神の目「プロビデンスの目」
カドゥケウスを持った運命を司る女神フォルトゥーナ（左）と
コルヌコピアを持った旅の神ヘルメス（右）
NUMINE SIT PRVDENS LIBERTAS PACEQVE FELIX
（英知と自由は幸福の源 MDCXCIV 1694年）

裏面：12時位置に三位一体
4本の柱と中央に柱をつなぐハンブルク市旗が刻印された盾
IN PACEM PATRIA SEPEROS IMITANTVR AMORES
（天国の如き慈愛に満ちた平和なる国家 勤勉で高潔たる都市の支柱であれ 執政）

プロビデンスの目

上空に描く事により「神は全てを見渡す」というメッセージを持ちます。
デザインにプロビデンスの目が入ると人気が集中します。

コルヌコピア（Cornucopia）

古代ギリシャにおいて食物、豊かさの象徴とされ「豊穣の角」とも訳されるヤギの角。
人々の運命を司るフォルトゥーナが持っており、
古代よりコインのデザインとして採用されています。

カドゥケウス(Caduceus)

旅の神ヘルメスが持っている杖。眠っている人を目覚めさせ、
目覚めている人を眠りに誘うと言われている2匹の蛇が絡みついた杖。
現代では商業や学校のシンボルマークとして用いられる事も多いです。

三位一体

父なる神、そこから生まれた御子であるキリスト、さらにそこから出た霊の3つは全て同じであり、唯一神であるという古くからキリスト教に伝わる考え方。
プロビデンスの目（万物を見通す神の目）と併せて表記される事が多いデザインです。 

上記の人気デザインを全て描いた大型金貨、
こちらも数年に1枚程度しか出てこないレア金貨です。

アンティークコインのデザインとして人気の
「王の肖像（権威の象徴）」「愛と平和」そして「都市景観」。

コインが欲しいけれど何を買ったら良いか分からない方は、ひとつのキーワードとして覚えておくと良いかもしれません。