コラム-コインで語る古代史 第3章2アレキサンダー死後の時代-UNIVERSAL COIN

アレキサンダーの死後・・

アレキサンダーは死ぬ直前、後継者は!?という周囲の問いに、「強いものが我が帝国を支配せよ」という遺言のみを残しました。その結果、アレキサンダー帝国では、後継者争いが勃発。そして、下記の三つの帝国に分割されることとなりました

アレキサンダー帝国

1.アンティゴノス朝マケドニア(前306〜前168年)

2.プトレマイオス朝エジプト(前305〜前30年)

3.セレウコス朝シリア(前312〜前64年)

アレキサンダー死後の帝国

特に、後継者(ディアドコイ)となったうちの一人、プトレマイオス1世が建国した<プトレマイオス朝エジプト>は、ヘレニズム三国の中で最も栄えた国であり、一族のお繁栄のため古代エジプトの文化や伝統を取り入れて「血族結婚」を繰り返しました。この国は紀元前30年には滅亡しますがそのプトレマイオス朝最後のファラオは”クレオパトラ7世”。王家の滅亡を防ごうとユリウス・カエサルの愛妾となったりローマ軍に戦いを挑むなど数々の逸話があります。彼女は現在、世間一般に「絶世の美女」としても浸透しておりますので、是非ともこの機会に覚えていただけますと幸いです。

クレオパトラ

ちなみにこの時代の文化としては”ヘレニズム文化”と呼ばれる、いわゆる「ギリシャ風の文化」が東方世界に浸透していくこととなります。それに伴い、より広い世界での個人の生き方を探究するコスモポリタニズム(世界市民主義)の思想が広がり、哲学にはストア派とエピクロス派の二つの潮流が生まれました。この時代の遺産とされる美術品には「ミロのビーナス」「ラオコーン」「サモトラケのニケ」など、写実的でありながら人間美や精神性を持った大理石彫刻が多く、のちのルネサンスの美術に大きな影響を与えてまいります。

ミロのビーナスラオコーン

また、この分割された3つの帝国の中で、これらヘレニズム文化の影響が大きく、その中心ともなった都アレクサンドリアには大規模な博物館であり、研究機関でもある「ムセイオン」が建設され、エラトステネス/アリスタルコス/アルキメデス/エウクレイデス(ユークリッド)などの自然科学者が活躍しました。

同帝国は紀元前1世紀末にローマ帝国によって滅ぼされますが、その後も西アジアからインドにかけて存続し、インドの2〜3世紀のガンダーラ美術などに影響を与え、さらに中央アジア、中国を経て遠く日本の8世紀の天平期の文化にも影響が及びました。地中海世界ではローマ文化が隆盛となりますがヘレニズム文化も”ヘブライズム(ユダヤ教・キリスト教の文化)”と共にヨーロッパ文化の基礎となる。文化として非常に重要な役割を果たした時代と言えるでしょう。

プトレマイオス朝エジプトの貨幣

この金貨は大型のものが比較的多く鋳造されている。理由は明確ではないが富の象徴として、デザイン性、流通用ではなく貯蓄用?!と推測の域を超えない。どちらにしてもその後のローマ帝国でそのほとんどが溶解されていることを考えると現存している古代の大型金貨としての価値は希少且つ高いことが頷けると思える。

アルシノエ2世 金貨

前270年〜前268年 プトレマイオス朝 金貨
表面:ベールをかぶるアルシノエ2世
裏面:豊かさの象徴としての2本の豊穣のツノ。コーニュコピア・コルヌ・コピア。ギリシャ語<APΣINOHΣ ΦIΛAΔEΛΦOY>(アルシノエ兄弟姉妹を愛する者たち)銘記

”アルシノエ2世”(在位:前280〜前270年)は、プトレマイオス朝エジプトの女王。プトレマイオス1世の娘。15歳の時にトラキア王国のリシマコスと政略結婚。しかし前281年、夫リシマコスが戦死により、トラキアの覇権の保全のためにマケドニアの王位の継承を要求した異母兄プトレマイオス・ケラウノスと結婚し、地位の保全を図った。ところが、ケラウノスが力をつけ始めると、その勢いを抑えるために夫に反旗を翻す陰謀を企てた。しかし、この陰謀が露見すると実弟プトレマイオス2世の庇護を求めてエジプトに逃れた。

彼女は身の保全のためプトレマイオス2世の最初の妻に暗殺疑惑をかけ追放させ、前280年、姉弟結婚し共同統治を行う。”共同統治者”として主に外交・戦略に力を振った。

また女王に捧げられた町や崇拝者、その肖像を刻印した貨幣ができるなど、強い影響力をもった。前270年死亡。前265年、神格化される。

プトレマイオス朝エジプト王系図
前246年〜前222年 プトレマイオス3世 金貨
前246年〜前222年 プトレマイオス朝 金貨
表面:主要三神の持ち物を身につけたプトレマイオス3世 右向き肖像
裏面:豊かさの象徴として豊穣のツノ「コルヌコピア」<ΠTO ΛEMAIOY>(プトレマイオス3世<BAΣIΛEΩΣ>(バシレウス”王”)の銘記
前285年〜前246年 プトレマイオス朝 金貨
表面:プトレマイオス1世とベレニケ1世 ギリシャ語<AΔEΛΦΩN>(母お同じくする子ら)の銘記
裏面:プトレマイオス2世とアルシノエ2世 ギリシャ語<ΘEΩN>(神)の銘記

同年代の日本

ここまでで紀元前のお話は終了する。正確には次頁のローマ帝国も含まれるが、わずか数十年なので。この時代の日本はどんな時代だったのか?

時代は弥生時代。竪穴式住居に農業が発展していく。集落があり、集団で生活をしていくようになっていく。

土器が中心で石器の調理等をしていたものと思われる。アレキサンダー帝国の鉄器や戦車、そもそも国家という概念や中央集権という仕組みなどがありようがない。

考古学的にも発見されていない、わからないことがあるようだが、ヨーロッパと日本を比較すると1000年は時代の進歩が異なると言われている。日本が国家として認識していく頃は卑弥呼(A.C200−300年頃)のようである。

別に日本を馬鹿にしているわけではない。逆にそんな1000年遅れの我々日本人がGDPでは世界3位、技術職、勤勉さで世界から評価されるまでに至ったこの数百年、数十年の歴史を誇りつつ、まだまだ新しい進化をしている国、民族だからこそヨーロッパで起きている世界史から学ぶこともがあると思う。そしてその歴史を物語るコインにロマンと愛着を感じてしまう。

 

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第4章1古代ローマ帝国


【古代】コイン​(貨幣)で​語る​古代史​(ギリシア&ローマ)​ 入門編 
第1章コイン誕生

第2章1ギリシャ世界

第2章2 アテナとフクロウ

第2章3 イオニア、シチリア、コリントス貨幣

第2章4 アケメネス朝ペルシア、パンティカパイオン貨幣

第3章1アレキサンダー帝国

第3章2アレキサンダー死後の時代

第4章1古代ローマ帝国

第4章2古代ローマ帝国・敵対強国カルタゴ貨幣 

第4章3古代ローマ帝国・ユリウス・カエサルの貨幣

第4章4ローマ帝国建国・初代皇帝アウグストゥス貨幣 

第4章5ローマ帝国・2代目ティベリウス帝の貨幣 

第4章6ローマ帝国・5代目ネロ帝の貨幣

第4章7ローマ帝国・13代目トラヤヌス帝の貨幣

第4章8ローマ帝国・14代目ハドリアヌス帝の貨幣

第4章9ローマ帝国・21代目カラカラ帝の貨幣

第4章10ローマ帝国・コンスタンティヌス帝の貨幣

 

関連動画:

https://youtu.be/lf0y6fV8XIM
【1-3】「アレキサンダー帝国」-「秦の始皇帝」-「日本」の関係をコインで辿る
https://youtu.be/KFaKCdzhqI0
【1-4】アレキサンダーの教えは絶世の美女に託されローマへ・・・ #クレオパトラ#シーザー#プトレマイオス朝エジプト
https://youtu.be/R6YAcJ6tCuA


   


 

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