コラム-コインで語る古代史 第2章2 アテナとフクロウ-UNIVERSAL COIN

アテナ貨幣

”アテネ”とは、スパルタと並ぶ強大なポリスであり古代ギリシャコインの中でも最も著名な銀貨でもあるのがこの「アテナとフクロウ」銀貨だろう。古代アテネ

 

アテナとフクロウ

前440〜前404年 テトラドラクマ銀貨
表面:女神アテナ(ローマ名;ミネルヴァ)の横顔
裏面:宛名の使い魔かつ夜のアテナの姿と言われる”フクロウ”とオリーブの葉、小さな三日月。ギリシャ文字<ΑθE>ATHE(アテネの)の刻印

 

ギリシャコインの本命であり、都市国家アテネの貨幣の特色の一つ「アテネとフクロウ」銀貨。”アテナ”はギリシャ神話における最高神ゼウスの頭から生まれた娘でオリンポス12神の一人。ローマ神話では”ミネルヴァ”にあたる。戦争とさまざまな技芸、知恵の守護神とされ、パルテノン神殿に鎮座した都市国家アテネの守護神である。

ポセイドンとアテナ

守護神となった経緯は「都市国家アテネの主導権をめぐって女神アテナと海の神ポセイドンが争った際、この都市に素晴らしい贈り物を贈った方が勝利者だと決め、ポセイドンは人々に泉を、アテナはその泉のほとりにオリーブの木を植えた。多数決の結果1票差でアテネの人々はアテナを守護神に選んだ」という神話から成り立っている。

そして”フクロウ”は女神アテナの聖なる使い魔であると共に女神アテナの夜の姿とも言われていた。

フクロウ”は女神アテナ

したがって「アテナとフクロウ」のデザインは一心同体の構図だったと推測される。

さらに”オリーブ”は大地の恵み、そして”三日月”は月の最後の週に戦ったサラミスの海戦(前480年 VSアケメネス朝ペルシア)での戦勝記念あるいはふくろうを示す装飾物を表している。また「 ΑθE>」は古代ギリシャ文字で「ATHE(アテネの)」を表し、まさに都市アテネのエッセンスを凝縮したデザインである。

 

オリーブ”は大地の恵み

 

アテナとフクロウ銀貨の変遷

アテナとフクロウ銀貨

古代ギリシャコインの本命というべき、都市アテネにおける発行コイン
優雅な彫刻品質を備えた”知恵と戦いの女神アテナ”

 

アテナとフクロウ銀貨

デザインの変化1:フクロウの近くに「小さな三日月」デザインの追加
解釈としては”夜のフクロウを暗示する装飾物”あるいは”月の最後の週に戦ったサラミスの海戦(前480年 VSアケメネス朝ペルシア)での戦勝記念を示唆する”など、さまざまな解釈がなされている。

 

アテナとフクロウ銀貨

デザインの変化2:「オリーブの葉」と「アルカイックスマイル」の追加
女神アテナの兜にオリーブの葉が追加されている。これはアケメネス朝ペルシャとの戦争に対する勝利の記念と解釈されている。
さらに、アルカイックスマイルというのは、古代ギリシャ文化の彫刻に見られる口元に微笑みを浮かべた表情のこと。「稚拙な微笑」とも言われる。日本の飛鳥時代の仏像の表情にも採用されている

 

アテナとフクロウ銀貨

デザインの変化3:女神アテナの目の形
従来、横顔にも関わらず正面を向いて不気味な感じを与えたデザインだったが”アーモンド・アイ(編桃状の眼、長橋の尖った長楕円形)”に変化し、正しい方向を向くようになった。

 

アテナとフクロウ銀貨

デザインの変化4:新型デザイン
基本的には「表面は女神アテナ、裏面はフクロウ」の従来スタイルは変化してない。
しかし、その特徴は表面のアテナの兜がコリントス式で三重の羽飾り、額部に馬の頭の列、背面に渦巻き模様の飾りとなっている。また、その裏面はオリーブの葉に囲まれたアンフォラ(両手つきの壺)の上に乗ったフクロウが正面を向き、その横には色々な組み合わせ文字、頭文字、人名、シンボルなどがごちゃ混ぜに記されているのが特徴である

※その他コインにおける女神アテナのデザイン

アレキサンダー金貨

前337年頃、マケドニア王国のフィリッポス2世(アレキサンダーの父)がハンペルシャ同盟の支持者として宣言する際に、都市アテナの主要コインの表面を採用して、共感と協力を得ようとする目的で発行されたことに端を発していると解釈されているコイン。息子アレキサンダーも自身が即位した際にも指導者としての地位を確立するために当コインの発行をおこなっている。表面にはコリントス式兜を被った女神アテナ、裏面には勝利の女神ニケが描かれている。この女神ニケは女神アテナに付き従っており、将来の勝利の祈りと過去の野蛮人ペルシャ人を打ち破ったギリシャ世界における”勝利のシンボル”として解釈されている。

 

これら貨幣が多く流通するようになった背景には紀元前487年にラウレイオン銀山が開発されたことが大きく影響している。また、この時代の国家優先順位は”戦争”である。(「人類の歴史は戦争の歴史」と言われるほど戦争と平和を繰り返してきたことを忘れてはならない)
ポリス同士の争いもさることながら多民族王国(国家)とその衝突(戦争)もあり、まさに生きるか死ぬかの時代であるため、国家予算の大半はその戦費となり、国家財政が潤沢であればあるほど”強固な国家”となると言えるだろう。
特に大型の銀貨や高価な金貨は一般市民が手にするようなものではなく、軍隊や貿易商など一定の層以上の階級の人々が手にするものであったと考えられている。

 

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第2章3 イオニア、シチリア、コリントス貨幣


【古代】コイン​(貨幣)で​語る​古代史​(ギリシア&ローマ)​ 入門編 
第1章コイン誕生

第2章1ギリシャ世界

第2章2 アテナとフクロウ

第2章3 イオニア、シチリア、コリントス貨幣

第2章4 アケメネス朝ペルシア、パンティカパイオン貨幣

第3章1アレキサンダー帝国

第3章2アレキサンダー死後の時代

第4章1古代ローマ帝国

第4章2古代ローマ帝国・敵対強国カルタゴ貨幣 

第4章3古代ローマ帝国・ユリウス・カエサルの貨幣

第4章4ローマ帝国建国・初代皇帝アウグストゥス貨幣 

第4章5ローマ帝国・2代目ティベリウス帝の貨幣 

第4章6ローマ帝国・5代目ネロ帝の貨幣

第4章7ローマ帝国・13代目トラヤヌス帝の貨幣

第4章8ローマ帝国・14代目ハドリアヌス帝の貨幣

第4章9ローマ帝国・21代目カラカラ帝の貨幣

第4章10ローマ帝国・コンスタンティヌス帝の貨幣

 

関連動画:
【1-1】貨幣の誕生はユダヤそして日本にも大きく関わっていた!? #リディア金貨 #世界最古の貨幣
https://youtu.be/KO4zRwuFu1U
【1-2】人類の英知の結晶ギリシャからアレクサンダーによる世界平和
https://youtu.be/lf0y6fV8XIM
【1-3】「アレキサンダー帝国」-「秦の始皇帝」-「日本」の関係をコインで辿る
https://youtu.be/KFaKCdzhqI0
【1-4】アレキサンダーの教えは絶世の美女に託されローマへ・・・ #クレオパトラ#シーザー#プトレマイオス朝エジプト
https://youtu.be/R6YAcJ6tCuA
【2-1】ローマSPQR体制は2300年も続いているという意味
https://youtu.be/WI7FwIxozpc
【2-2】ローマの偉人が私達に伝えている大切なメッセージ <カエサル&アウグストゥス>
https://youtu.be/mlHZI0Ios8A
【2-3】ローマの偉人が私達に伝えている大切なメッセージ ネロ&カラカラ帝
https://youtu.be/PEiWFP5r-RQ
【2-4】ローマの偉人が私達に伝えている大切なメッセージ コンスタンティヌスⅠ世 ※諸事情により一般公開はここまでと致します
https://youtu.be/oKvdbYSw5ZA


   


 

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