世界のコインご紹介#30「驚愕の落札結果！NAC THE TRAVELLER COLLECTION 考察」

アンティークコインを探し求める皆様、こんばんは。

今回は、5月20日（日本時間深夜）に開催された、スイスの老舗オークション「NAC」を特集します。

私たちも日本からオンラインで参加しましたが……ご想像の通り、高騰の嵐で何も買えず。

今回は、これまで当社でもご紹介してきたお馴染みのコインから、珍しい試鋳貨、超希少金メダルまでを振り返ります。

LOT2001
イギリス 1665年チャールズ2世ローストフト海戦勝利記念金メダル裸
落札価格：CHF85,000（約2400万円）

第二次英蘭戦争（1665〜1667年）でのローストフト海戦における勝利を記念した金メダルです。
チャールズ2世の肖像に加え、裏面には沈没するオランダ艦と勝ち誇るイギリス艦が描かれています。
63mm／150gという特大サイズも相まって、当初から高額落札が予想されていました。

LOT2056
イギリス 1702年アン女王ヴィーゴ湾海戦出陣記念金メダル MS64PL
落札価格：CHF110,000（約2600万円）

オランダ商船団に対するイングランド海軍の勝利は、5ギニー金貨でも知られていますが、こちらは出陣自体を記念したメダル。

当初は1,000万円程度と予想していましたが、MS64PLという高鑑定の影響もあり、想定の3倍まで高騰。落札を断念しました。
しばらくアン女王のメダルは当社でも入荷がなく、ぜひ手に入れたかったのですが……やはり人気は根強いです。

LOT2067
イギリス 1714年ジョージ1世ロンドン入城記念金メダル MS62
落札結果：CHF55,000（約1300万円）

アン女王の崩御後、イギリス王となったジョージ1世。
即位前はドイツ・ハノーヴァーの選帝侯「ゲオルク1世」として生活していました。
議会からの招集を受け、約1か月後にロンドンに入城した記念として発行された金メダルで、市場に出たのは当社調べで初。
このクラスがスラブ入りとなると、やはり価格が跳ね上がります。

LOT2141
イギリス 1820年ジョージ3世 2ポンドパターン金貨 PF63CAM
落札結果：CHF70,000（約1650万円）

60年という最長在位を誇るイギリス国王ジョージ3世（※女王ではエリザベス2世の70年が最長）。
イタリア人彫刻家ピストルッチによる力強い肖像と、裏面の「聖ジョージと竜」は後世まで語り継がれる構図です。

通常貨ではエッジ（縁）に文字が入っていますが、本品は無銘の珍しいパターンタイプ。
1922年のサザビーズ以来、実に100年ぶりの市場登場となりました。

LOT2151
イギリス 1826年ジョージ4世 5ポンドパターン金貨 PF64＋CAM
落札価格：CHF280,000（約6580万円）

巨匠ウィリアム・ワイオンの代表作とも言える金貨。裏面のマントの彫刻は圧巻で、見る者を魅了します。
LOT2141同様、こちらもエッジに文字が無いレアタイプ。

もともと世界で2枚存在するとされていましたが、もう1枚は2008年のロンドン・コイン・フェアで紛失（盗難？）。
結果、唯一入手可能な1枚となっています。

LOT2162
イギリス 1839年ヴィクトリア女王ウナとライオン 5ポンドパターン銀貨 PF65
落札価格：260,000（約6200万円）

有名な金貨ではなく、3〜5枚のみ存在する試鋳銀貨版です。
戴冠記念セットとして鋳造される予定だったものの、銀貨鋳造の難しさから試作のみに留まったとされる一品。
やや錆は見られたものの、PF65という高鑑定が付き、驚きの価格で落札されました。

今回は、このクラスの希少コインをご案内する予定でしたが、残念ながらすべて見送りとなってしまいました。

先日配信した 素敵なコインご案内2025.6 ご覧いただけましたでしょうか？