世界のコインご紹介#06「古代イスラエル ユダヤ戦争 シェケル銀貨」

アンティークコインを愛して止まない皆様こんばんは。

世界の素敵なコインをご紹介するお時間です。

本日お届けするのは「古代イスラエル ユダヤ戦争 シェケル銀貨（Year1-Year5）」

ユニバーサルコインでは過去数枚販売した事はありますが、このコインを知っている方は日本人ではほとんどいないと思います。

貨幣蒐集の祖とも言えるこのコインを知らずに「アンティークコインを知っている」とは言えませんので、詳しく解説します。

表面：儀式で使われる盃と発行年を表す数字

שקל ישראל（イスラエルのシェケル）

裏面： 3つのザクロの実、周りに「聖なるエルサレム」の文字

発行年は下記の通りで、（）内の数字が表面の盃の上に刻まれているので何年発行か確認ができます。

Year1（א）：66－67年

Year2（שב）：67－68年

Year3（שג）：68－69年

Year4（שד）：69－70年

Year5（שה）：70年

サイズ：24.00mm/13.00g

セールスの村田もセミナーで言及している通り、先のHeritage Auctionにおいて複数枚出品されておりますが、全く値段が下がる事なく落札されています。

（100万円～300万円で落札）

世界に2枚しかないパターン銀貨に至っては約１億4,000万円で落札されています。

（2012年5月 アメリカ）

この銀貨がなぜここまでオークションで注目を集めるのか？

理由は解明されていませんが、一つの説として提唱できるのが「ユダヤ人が自分達のアイデンティティを取り戻す為」なのです。

シェケル銀貨はユダヤ戦争中（66－73年）にイスラエルの反乱軍によって鋳造されました。

【ユダヤ戦争】

当時ローマ属州として存在を認められていたイスラエル（今の中台関係のような関係）はローマに逆らう事はできず、ローマに税金を支払う事を強要されていました。

66年の春、不満を募らせたユダヤ人がついに反乱を起こし始まったユダヤ戦争ですが時のローマ皇帝ティトゥスにより制圧され73年にイスラエルは崩壊、ユダヤ人の離散が始まります。（イスラエルは1940年代になるまで存在しなくなる＝ユダヤ人の国家が無くなる）

・・・つまりこのシェケル銀貨はユダヤ人のアイデンティティや歴史的な象徴が込められています。

自分達の文字を使い独立の象徴として鋳造されたコインを取り戻しているのがシオニスト（ユダヤ主義者）と呼ばれる超富裕層達。親イスラエル的な価値観とも共鳴する為、ユダヤ人コレクターから絶大な支持を得ています。

彼らが自分達を証明する「最後のコイン」を取り戻し続ける為、これだけ市場に出現しても全く価値が下がらないのです。

数年前には少女が発掘した事で話題になりました。

11歳少女、2千年前の希少な銀貨発見　ユダヤ戦争時に鋳造か

この時に相当な枚数が見つかっていると推測しますが、それでも価格は上がっています。

シェケル銀貨は歴史的・宗教的象徴ともいえる貨幣の為、他の古代コインと比べても格別の人気と需要があるといえます。

残念ながら現在ご案内できる個体はございませんが、もし見かける事があったら必ず入手したい1枚です。